なんでそんなに照明が好きなんですか?と尋ねられることが増えました。
照明=仕事という感覚で、なぜって考えたことがなかったのですが、
思い返すと私の人生に大きく関わっていたなあと感じています。
辛いと思う時も、幸せー!と思う時もいつもそばにあった、人生の相棒のように思います。
少し長くなりますが、照明は私にとって「人生の相棒」だと感じた理由を振り返ってみました。
はじめは「おしゃれな部屋」になるから
天井につける照明ではなく床において使うフロアランプや
テーブルやカウンターに置くテーブルランプを
暮らしに取り入れている方はどれくらいいらっしゃるのかなとよく考えます。
下の写真の左がフロアランプ、右がテーブルランプです。

フロアランプやテーブルランプって、「家が広い」や「余裕のある人」が
使うものだと思っている人が多いのかなという印象です。
実際に多くの方から
・家が狭いから
・点ける時間がない
・ランプを置くような家ではない
などというお声をお聞きします。
3つめのランプを”置くような家ではない”というのは
ランプがある暮らしが似合う家ではないという風に私は解釈しています。
フロアランプ一例(床に置くランプ)↓

私も、最初はそうでした。
結婚をきっかけに間接照明が欲しいと思いフロアランプを取り入れましたが
「ランプがあるとおしゃれ」という軽い気持ちで選んだものでした。
今思えば、フロアランプの灯りはおしゃれ以上のもので、
私の居場所になったり気分転換や安らぎを作ってくれる存在になっていたと感じています。
照明との出会い
照明との出会いは新卒で就職した会社でした。
もともとインテリアがすごく好きだったとか、インテリアを学びに学校へ行ったというのでもなく、
たまたま電機メーカーの採用試験を受けたら、採用されたという理由です。
しかも求人は事務職でした。
それが入社し、研修期間を終え配属されたのが、照明提案営業の部署だったのです。
どんな仕事かというと、ハウスメーカーさんや地場工務店さんに
照明や電気設備を採用してもらうために営業をする仕事です。
そのときの気持ちはまた別のときに。
ここで照明提案のノウハウとスイッチやコンセントの電気設備についてみっちりと学びました。
白熱灯や蛍光灯がLEDになり、情報は随時アップデートしているものの、
今の私の基礎になっているものはこのときの知識ということは間違いありません。
独身時代は、照明は仕事で接するものでしたが、
結婚をきっかけに、フロアランプを取り入れた暮らしになり、
文字や物を見るためのものではなく、心の安定に欠かせないものになったという感覚です。
ランプが私の居場所になった
22歳で結婚し、それから10年ほど夫は転勤族でこの期間に
広島→香川→徳島→大阪と4度の引っ越しをしました。
数年ごとに見知らぬ土地へ引っ越す生活で、ようやく慣れたと思った頃に、また引越しです。
辞令とわかっていても異動の1か月半前に内示されそこから家探し、
引っ越し見積りや各種手続きとバタバタ。
何度同じ経験をしても心が追い付いていきませんでした。
不安で激しいめまいや動悸が数か月間続き、心療内科を受診したこともあります。
引越し前後の2か月間、営業職の夫は毎日のように歓送迎会で帰宅は深夜。
そして土日はゴルフです。
今思えば、夫はいつ休んでたのかと思いますが、当時は夫も20代だったので
なんとかなったのかもしれません。
(♪24時間~働けますか♪という歌が聞こえてきそうです)
夫は社内に知り合いもいるし、飲み会やゴルフを通じ、新しい環境にも慣れていきますが
子どもが生まれるまでは私は家でずっと一人です。
当時は夫に負担になってはならぬという気持ちが強く、
自分の気持ちに素直になったり、寂しいと伝えることは苦手でした。
どこかに出かけたらいいのですが、2000年代前半の当時はスマホもなく
今ほどネットの情報も充実していなかったような記憶です。
もともと出不精な性格も手伝って新しい土地で調べて出かけよう!と
思えるようになるまでは少し時間がかかりました。
新しい部屋、新しい場所への緊張、不安、寂しさのなか、
夜に部屋の天井のシーリングライトをつけると
どこか他人の家にいるような気持ちになり落ち着きません。
下の写真は当時使っていたフロアランプ。

でも、フロアランプの灯りをつけると間取りや家具の配置が違っても、
「ああ、ここが私の家なんだ」と安心したり、心がほっとしたのを今でも覚えています。
夜泣きの相棒
最初に引っ越した広島で娘が生まれました。
(ちなみに、友人も親戚もいなかったため、産婦人科はタウンページで調べて通いやすそうなところへ行きました。)
子育て期でランプに助けられたのは夜泣きのときです。
特に今22歳になった娘は背中のスイッチがかなり敏感で、寝たと思っても布団に置いた瞬間に泣いてなかなか寝てくれませんでした。
長期戦の予感がしたときは、覚悟を決めてリビングへ移動しました。
抱っこしている私がイライラするとそのイライラが移ると思い、
ソファサイドのランプをつけて、まずは自分の心を落ち着かせていました。
天井の照明は夜中には眩しすぎるため、ランプの灯りがちょうどいいんです。
テーブル付のフロアランプだったので寒いときは、温かいものを飲みながらソファに座り、
娘の背中スイッチがOFFになるのを背中をトントンしながら待っていました。
気分転換にもなるランプ
夫は仕事で不在がちで、今でいうワンオペ育児でした。
当時を思い出すと美容院に行くために、夫の予定を確保するのが精一杯だったような気がします。
そのため、気分転換は外出よりも家ですることが多い生活でした。
夫の帰りが遅い日は、お風呂をでたら、まずは娘を寝かしつけます。
そのあと、当時から業務委託をやっていたので、仕事を仕上げたら楽しみの1人時間です!
天井の照明は消してフロアランプの灯りをつけます。
ビールを飲みながら好きなアーティストのライブDVDを観るのは至福の時間でした。

フロアランプからブラケットライトへ
2010年、夫が転職のタイミングに家を建てることにしました。
新居とイメージが合わない
間接照明にはブラケットライト(壁付照明)を設置する
という理由で家を建てると同時にフロアランプは手放すことに。
フロアランプを手放してからはブラケットライトが私の相棒です。
仕事や家庭のことなど、タスクに追われたり疲れたなぁと思うときはすぐに寝たいですが、
そんなときこそ少しの時間でも天井のダウンライトを消し
ブラケットライトやテーブルランプの灯りで過ごします。
下の写真は自宅のブラケットライトです。


照明があたたかく柔らかくな雰囲気になると
ピンと張っていた緊張の糸がゆっくりとほどけていく感じがあるのです。
そして、深呼吸をすると、ゆっくりと落ち着いた気持ちで眠りにつけます。
先日、お客様にご提案したフロアランプを採用いただきました。

フロアランプのある暮らしを拝見しテーブルランプとも
ブラケットライトとも違う表情があるなぁと感じ、
またフロアランプを取り入れたいと思うようになりました。
照明は、明るければいいという存在で「これでいい」と選ばれる方が多いのではないでしょうか。
でも、私にとっては知らない土地で一人だったときも
頼れる人がいない子育て期も、日々の生活に追われクタクタなときも
ずっと相棒だったなと思います。
「おしゃれになる」と思ったフロアランプが、ここまで支えになっていたことに自分でも驚いています。
照明のチカラ
私は信念として「照明を変えると、人生が変える」と、大きなことを言っています。
でもそれは私自身が照明にとても支えてもらったからなんだなと改めて思いました。
家で過ごす時間が心地よくなり、心が穏やかになる。
落ち着ける空間の大切さが身に沁みています。
だからこそ、照明を選ぶときはおしゃれな照明や明るくなる照明を選ぶだけでなく、
「どんな暮らしがしたいか」
「どんな時間を大切にして過ごしたいか」
「今後どんなことをしたいか」など、お客様の内側にある気持ちを大切にしています。
照明を変えるだけで、急に暮らしがまるっと生まれ変わるわけではないかもしれません。
まずは照明のチカラでゆったりとした気持ちになってみることから始めてみるのはいかがでしょうか。
苛立ちや疲れや緊張が和らぎ、落ち着いて眠れることが一番のエネルギーにつながるのではないかと思っています。
単に照明を選ぶだけでは終わらない、“これからの暮らし”を一緒に考えることが
私にとっての照明提案だなと感じます。